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メドゥーサのやかん

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かなり珍しいスウェーデンの「Kaffekittel (やかん)」を見つけました。ホーロー製品を製造していたスウェーデンのKockmus Jernverk社で、Sigurd Perssonの手によって1962年にデザインされた「Kaffepetter」と呼ばれるものです。とはいえ、この写真にあるように、注ぎ口が3つもあるものをデザインしたのではありませんよ。そりゃ、そうよね。
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3つも注ぎ口があったのでは使いやすいはずがないもの。これは、職人さんの遊び心によって生み出されたもの。通常の流通に乗せるつもりで作られたものではないはずです。それが、50年近く経った今、流れ流れてヴィンテージショップにお目見えしたという訳。珍しモノ好きの私は一目見た瞬間に心を揺さぶられてしまって、おもち帰りしようと思ったのだけど、現実的で、堅実な夫の説得で思いとどまりました。(笑) あまりに別れがたかったので、お店の人に断って写真を撮らせてもらったという顛末です。
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このメドゥーサのような姿を目にした後では、通常のやかんの姿を想像するのは難しいかもしれませんが、このSigurd Perssonによるやかんは当時かなり普及したもので、日本でも取り扱いしているのを何度か見たことがあります。

今見ると「これぞ、やかん」然としたスタイルですが、発売当時の1962年にはかなり斬新なルックスだったと言います。それまでのスウェーデンの家庭用品、特にホーロー製品は褪せた黄色や、薄い黄緑色を使用することが一般的だった時代。鮮やかなオレンジや赤、青といった原色をベースとした色展開は 鮮烈に人々の目に写り、スウェーデン人の度肝を抜いたそう。

使いやすいシンプルなフォルムはスウェーデンのフォークロア(民芸) が実はデザインがベースとなっています。時はスウェーデンでも既に始まっていた大量生産の時代。工業製品の形状は限りなくシンプルであることが求められました。伝統的に農民の日常的に使われてきた道具のフォルムは、無駄がそぎ落とされており、それ自体が機能美に溢れている事に着目した、Sigurd Perssonの傑作の1つにこのやかんが数えられるようになりました。




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by minasamlingar | 2012-01-19 22:32 | Others

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